不登校とスマホ・ゲームの関係をもう一度考えてみた。「依存」?「命綱」か?
- 牧田康之
- 10月17日
- 読了時間: 6分

テレビやネットで言われる「ゲーム依存」って言葉を見るたびに、胸がザワザワ…。
まるで自分の家のことを言われているようで、苦しくなっちゃいます。
わかります。
その気持ち。
僕の息子は学校以外の多くの時間をゲームに費やしてますから
でも、その犯人探し、今日でちょっとおしまいにしてみませんか?
もしかしたら、私たちが「問題だ!」って思っているそのゲームこそが、今、お子さんの心をギリギリで支えている、
たった一本の「命綱」なのかもしれないから。
まずは肩の力ぬいて「依存」って言葉をチェック!
そもそも「ゲーム依存(ゲーム障害)」って、お医者さんが「これは治療が必要かも」って言うレベルの話。
ポイントは、超カンタンに言うとこの3つ。
やめられない、止まれない!(コントロール不能)
なによりもゲームが一番!(最優先)
マズいことになっても、やめられない!(問題があっても継続)
あなたのお子さんは当てはまりますか?
でも、焦らないで! 大事なのは、ただ長くやってるからって、すぐに「依存症」と決めつけないこと。
そこには、もっと深いワケが隠れているかもしれないんです。
一番大事な質問です。「原因」はどっち?
ここで、あなたに考えてみてほしい、一番大事な質問。
A:ゲームにハマりすぎて、学校に行けなくなった?
B:学校に行けなくなったから、ゲームに居場所を求めた?
これ、似てるようで、天と地ほども違います。
そして、「不登校の子の場合、Bのパターンがすごく多い」
もしBパターンなら、ゲームは「原因」じゃなくて、心の痛みから生まれた「症状」ってことです。
風邪をひいたら熱が出るみたいに、心に大きな傷を負ったら、ゲームの世界に没頭する。
そう考えると、見え方がちょっと変わってきませんか?
なぜそこが「命綱」になるの?ホントの理由を深堀してみます。
お子さんにとって、ゲームやネットの世界は、つらい現実とはちがう「安全な避難所」じゃあ、なんでそこまで避難する必要があるんでしょう?さらに、理由を深掘りしてみます。
理由①:心が「ホッとできる」から
つらさを忘れられる場所(イヤなことからエスケープ!)
自分がヒーローになれる場所(自信、カムバック!)
安心できる場所(ルールが明確で、裏切られない!)
気楽な仲間がいる場所(リアルより、ラクにつながれる!)
まずは、この基本的な心の機能を、どっしりと理解してあげることがスタートです。
理由②:その子の「特性」が関係している
実はこれ、すごく多いケースなんですが、発達障害の特性が関係していることも少なくありません。これは本人の性格や、親の育て方のせいでは全くありません。
生まれ持った、脳のタイプの話です。
ADHD(注意欠如・多動症)タイプの子脳が常に「面白いことないかな?」って強い刺激を探しているから、次々にご褒美がもらえるゲームのシステムに、脳がガッチリハマりやすいんです。
ASD(自閉スペクトラム症)タイプの子ガヤガヤした場所や、人の気持ちを「空気を読んで」察するのが、ものすごく疲れる。だから、ルールが明確で、自分のペースで関われるネットの世界が、砂漠のオアシスみたいに心地いいんです。
つまり、「特性による生きづらさ」を和らげるために、二次的にゲームに没頭しているかもしれないんです。
理由③:学校という「環境」がしんどすぎる
もう一つ、見逃せないのが日本の学校にありがちな「みんな一緒」という空気。いわゆる「同調圧力」ってやつです。
ちょっとでも周りと違うと浮いてしまう。常に「普通」でいなきゃいけない。そんな空気が息苦しくてたまらない子にとって、自分の「好き」を全開にできて、個性的なアバターで自由に振る舞えるデジタル空間は、自分らしくいられる唯一の「解放区」になっているのかもしれません。
じゃあ、親はどうする?「取り上げる」以外の方法
大前提として、いきなりゲームやスマホを取り上げるのは絶対NG!
それは、溺れかけている子の「命綱」を切ってしまうのと同じこと。
ますますパニックにさせてしまいます。
じゃあ、どうするか。具体的なステップを考えてみます。
ステップ1:お家を「安全基地」にしよう!
何よりもまず、これ!作戦会議も、これができてないと始まりません。
「テストの点が悪くても」「学校に行けなくても」、あなたの価値は1ミリも変わらないよ。
お父さんとお母さんは、何があってもあなたの味方だからね。
この無条件の安心感を、言葉と態度で伝え続けてください。
お家が充電満タンにできる「安全基地」になれば、外に出ていくエネルギーも少しずつ湧いてきます。
ステップ2:ルールは「命令」じゃなく「協定」で!
「1日1時間にしなさい!」これは命令。
子どもは反発するだけ。そうじゃなくて、「夜9時以降は、スマホをリビングで充電するっていうのはどう?」「週末の夜ごはんは、みんなで一緒に食べない?」みたいに、
親子で話し合って決める「協定」にしましょう。
子ども扱いせず、一人の人間として尊重する姿勢が、信頼関係を作ります。
ステップ3:専門家と「作戦会議」をしよう!
家庭だけで抱え込むのは、もうやめましょう。プロの力を借りるのが一番の近道です。 代表的な作戦は、この2つ。
作戦A:本人のココロの筋トレ!(認知行動療法)これは、カウンセラーみたいな専門家とやる「考え方のクセを見直すトレーニング」です。「どうせ自分なんて…」という思考のループから抜け出す練習をしたり、ゲームに代わる新しいストレス解消法を一緒に探したりします。
作戦B:家族みんなでチームになる!(CRAFT)「依存の反対は『つながり』」が合言葉。ガミガミ言うのをやめて、良いところを見つけて褒める。家族のコミュニケーション自体を、温かくて前向きなものに変えることで、本人が「変わってみようかな」って思うきっかけを作る、とっても素敵な作戦です。
戦う相手は、ゲームじゃなかった
どうでしょう?
こうやって見てくると、戦うべき相手がゲームじゃなかったってこと、少しずつ見えてきませんか?
お子さんの行動は、その子のせいでも、もちろんあなたのせいでもありません。
その子の特性や、学校の環境、心の状態…いろんなものが複雑に絡み合った結果なんです。
だから、もう自分や子どもを責めるのはおしまい。
「なぜ、うちの子はこの『命綱』が必要なんだろう?」そうやって、行動の裏にある「理由」と「心」に寄り添うこと。
それが、暗いトンネルを抜けるための、一番確かな光になります。これはスクリーンとの戦いじゃなく、親子で、もう一度ちゃんと手をつなぎ直すための、希望の始まりなのかもしれないですよね。



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